2018年8月17日金曜日

無性芽から育てる! ゼニゴケの育て方・増やし方




ゼニゴケの育て方や増やし方を知りたくても、きちんと書かれた記事がないので、実験してみました!

ゼニゴケの増やし方といっても色々な方法があります。
 ・株分けして移植する方法
 ・胞子から地道に育てる方法【有性生殖】
 ・無性芽から育てる方法【無性生殖(クローン)】

株分け法は、はなんとなくイメージできるかと思いますので割愛します。


ゼニゴケの増え方についてちょこっとお勉強


そもそも、ゼニゴケには雄株(おかぶ)と雌株(めかぶ)があるのをご存知でしょうか?

ゼニゴケ
普段のぬめーっとした状態のときは、雌雄の判断が付かないのですが、ゼニゴケにお花のような傘ができるのを見たことがありませんか?

実はこれがゼニゴケの生殖器官で、雌雄で違う形の傘が出て来るのです。

ゼニゴケ雄器托
こちらが雄株の傘(雄器托)
背が低く、平べったい形をしています。
ココでゼニゴケの精子を作っています。

ゼニゴケ雌器托
こちらの可愛らしいのが雌株の傘(雌器托)
雄株の傘よりやや背が高く、ミニチュアのヤシの木のような姿が特徴的。この傘の下に卵子があり、上手く受精すると胞子体が出来ます。(雨が降った時に雄株の精子が泳いで雌株の傘までたどり着く。両者が近くにいないと上手く受精までたどり着けない)受精した雌器托は少し背が高くなり、傘の下に黄色いぽんぽんを付けます。この黄色いぽんぽんがゼニゴケの胞子です。
受精できなかった傘は、背が低いまましょぼくれて終わります(ちょっと悲しい)。通常雌雄が混在で生えていることより、それぞれが塊で生えていることの方が多いので、雄だけの群落、雌だけの群落になていたりします。

こうやってできた、胞子が風に乗ってまき散らされて、更に生息範囲を広げて増えていくのです。で、この胞子から増やして育てようと思うと、胞子ができる時期も決まっているし、胞子から原糸体という過程を経て、植物の形になるので、かなり時間がかかってしまいます。育てるために増やすには非効率。


ゼニゴケを増やしてみよう!

少し前置き長くなりましたが、そこで今回はゼニゴケの「無性芽(むせいが)」を使って増やす方法について実験・解説します。

ゼニゴケ無性芽器
そもそも、無性芽って何よってところから。
ゼニゴケに写真のような吸盤のついている所見たことありますか?
この吸盤。更に近づいてみてみるとーーーー

ゼニゴケ無性芽器
緑色の小さなツブツブが沢山入っています。
これは全部、ゼニゴケの無性芽!!
これは元のゼニゴケと同じ遺伝子を持ったクローン。
山芋のむかごのようなものです。
この無性芽の付け方は、コケの種類によって全然異なります。

◆この吸盤をゼニゴケの無性芽器(むせいがき)といいます。

ゼニゴケの場合には、無性芽器に雨が当たると、つぶつぶの無性芽が飛ばされて、生息範囲を広げていくという仕組み。(だから、庭に生えたゼニゴケをむしってもむしってもまたすぐに生えてくる)


ゼニゴケ無性芽栽培 作製作業


1、容器にテラリウム用のsoilを入れてよく湿らせておきます。
作製手順1-1

作製手順1-2
◆ゼニゴケ栽培の場合、フタのない容器で栽培するのがポイント!


2、無性芽器に水をかけ、スポイトで無性芽を吸い出します。
作製手順2

3、吸い出した無性芽をsoilの上にまきます。
作製手順3


作業はこれだけ。ゼニゴケは乾きに弱いので、乾燥しないようにマメに霧吹きをしながら芽生えを待ちます。



ゼニゴケ無性芽栽培 経過観察


5月11日の様子
2018年5月11日スタート 写真でみせても、無性芽わかりませんね。

6月20日の様子
2018年6月20日 ちょこちょこ緑色のが出てきました!
写真が撮れなかっただけで、ちょうど一ヶ月目には緑色のものが確認できるようになっていました。

7月4日の様子
2018年7月4日 徐々にゼニゴケらしい形になり始めました。

8月16日の様子
2018年8月16日 ちょっと目を離したすきに、完全にゼニゴケに!!
そしてそして、なんと。無性芽器ができ始めているではないですか。
ココから無性芽をとればエンドレスで増やして、育てられる??

ゼニゴケはコケ植物の中では、比較的成長が早い種類です。
変化を観察しやすいのも魅力ですね。


現状ここまでですが、更に観察を続けてみたいと思っています。
以降の経過はTwitterのモーメントにアップしていく予定
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テラリウム環境でのゼニゴケの育て方については、道草michikusaの著書「部屋で楽しむ小さな苔の森」(著者:石河英作/出版:家の光協会)にも詳しく書いてあります。合わせて参考にして下さい。




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