2018年8月27日月曜日

北八ヶ岳 苔の森でコケと仲良くなる日 麦草ヒュッテx道草コラボイベント



「北八ヶ岳苔の森でコケと仲良くなる日」


麦草ヒュッテさんと道草michikusaのコラボ企画「北八ヶ岳苔の森でコケと仲良くなる日」を8月25日に開催しましたので、その様子を少しご紹介します。
 
コケさんぽ

北八ヶ岳の苔のお話し

北八ヶ岳白駒池周辺は、日本蘚苔類学会によって「日本の貴重なコケの森」に認定されています。八ヶ岳全域では500種を超えるコケ植物が自生しており、白駒池周辺でも300種近い種類が生えているそうです。標高約2100mで亜高山帯に生える種類を多く見ることができ、かつ車でのアクセスがとても良いので、魅力的なコケ観察スポットではないでしょうか。

北八ヶ岳の山小屋のおじさん達が作る、北八ヶ岳苔の会は毎年科学博物館の先生や大学の先生を招いて、コケの観察会を開催しています。ドップリ観察したい人はこちらに参加するのも良いでしょう。私も数年前に苔フェスティバルという企画のときに参加しました。今年の観察会の予定。ほとんど終わっていますが、10月まで予定があるので気になる方は下記のリンク先からチェックしてください。

コケ観察会予定

北八ヶ岳苔の会 http://www.kitayatsu.net/


北八ヶ岳苔の会所属の各山小屋でも観察会を独自企画していたり、泊まりのお客様が参加する追加のアクティビティとして企画していたりするようです。更に、昨年のJR東日本大人の休日俱楽部CMの影響から、観光客だ急増して、JTBやクラブツーリズムでもコケ観察ツアーがあるのだとか。軽く見たい程度の人は、大手旅行会社のツアーに参加しても良いが、コケ好きには苔の会または、山小屋が企画する観察会に参加して、ゆっくりと苔の魅力を堪能してもらいたいと思います。
◆昨年から特に土日は白駒池駐車場が大変混雑するので注意して下さい。

こちらがそのCMです。
JR東日本CMギャラリー http://www.jreast.co.jp/company/tvcm/index.html?code=otona41


さて、今回コラボした麦草ヒュッテさんは、その北八ヶ岳苔の会に所属する山小屋で、白駒池からは少し離れた麦草峠に位置します。こちらは恐らく苔ファンよりオールド登山愛好家に有名な山小屋。その麦草ヒュッテのご主人島立さんはとってもコケ好きで、山小屋にいくと島立さんのコレクション苔が沢山並んでいます。そして、気が合うところは糞ゴケというウンチにしか生えないという、ディープな苔をひたすらに追いかけているという変態性(←誉め言葉ですよ)。詳しく話を伺ったら、藤井さんの「コケはともだち」や下北での展示を見に行った辺りが、ハマっていくキッカケであったというので、私と同じような時期に同じようなルートを辿って、ハマっていったのだなと...
(変態苔人間のキッカケは藤井さんとYさんにあるのだよ。恐らく)

そんなこんなから、昨年より道草の苔テラリウムをお取扱いただいたり、今年は書籍もお取扱いただいております。何で苔の森で苔テラリウム?って話は、だいぶ脱線してしまうのですが、今回のイベント動機にも少し関係があるのでお話しします。

ここ数年のコケブーム&吉永小百合さん効果で、苔目的で訪れるひとも多くなったそうです。一方そういったときに問題になってくるのが、ちょっとだけなら良いだろうといった採取の問題。法律上禁止されているエリアということはもちろんのこと、今後より長くより多くの人に、森の苔を見ていただこうと思ったときには、やはり一人一人のモラルが大切になります。更にいうと、標高2100mの森は特殊な環境のため、低地に持って行っても生き残ることはほとんどありません。コケはどこにでも生えていそうですが、種類ごとにその場所に特化した生き方をしているのです。だから、低地で見ることができるコケの種類と、北八ヶ岳に生えるコケの種類は全く違うのですね。
ちょっと前置き長くなりましたが、ダメダメといってもやっぱり苔の森の思い出を手にして帰りたいもの。そこで島立さんと相談して、都会でも育てやすい種類の小さな苔テラリウムをお土産用として販売することになりました。なので、ここで販売している道草の苔テラリウムは北八ヶ岳産ではないのです。でも苔はコケですから、小さなテラリウム見ながら、「今年の夏は山に行ったな~」と思い出していただくものになればよいかと思っています。
◆白駒池周辺は国定公園に指定されているので、動植物の採取が禁止されています。

そんなことから、森のコト・苔のコトを楽しく学びながら、大切に思ってもらえるようなイベントができたら良いなと話し合って企画したのが今回のイベント「北八ヶ岳 苔の森でコケと仲良くなる日」。



ここからイベントの様子をご紹介


コケさんぽ
11時に集合し、午前中は山小屋のおじさんと歩くコケさんぽ

地獄谷
麦草ヒュッテ島立さんの案内で北八ヶ岳の森の成り立ちや、倒木更新の話し、北八ヶ岳に生える苔の話をききながら島立さんイチ押しスポット地獄谷へ。何だか名前は怖そうだけど、そんなに怖い場所じゃないですよ。今回は5歳男子も参加でしたが、頑張って一番下まで降りました! 谷の一番底はまるで冷蔵庫の中のようにヒンヤリしています。昔は夏まで氷が残っていたので、ここから氷を切り出して山小屋の冷蔵庫に使用していたのだとか。(あえて、皆が訪れる白駒池周辺ではなく、人がほとんど来ないのでゆっくり観察したり話ができるスポットを選んでみました。)

オコジョ

オコジョ
そして何と幸運にもオコジョが足元に。かなりの至近距離で撮影できました。普段は警戒心が強くすぐに逃げてしまうらしいのですが、近くに来ていた小鳥を狙っていたらしく、我々の前にチョコチョコと何度も出て来てくれました。(しばらくの間、みんなコケを忘れてオコジョタイム。)こんなサプライズがあるのも山の魅力。

1時間半くらいのちょっとしたコケさんぽでしたが、皆さん北八ヶ岳初めてということで、ご満足いただけたようです。


お昼を挟んで午後からは、麦草ヒュッテに戻って、コケの基礎的なお話しと午前中の景色を思い浮かべながらの苔テラリウム作製。

スナゴケを触る参加者
乾いたスナゴケに霧吹きかけて触れ合っている様子。

テラリム作製の様子

テラリム作製の様子

テラリム作製の様子
8cmのガラス容器に3種類の苔と石を入れて、自然は風景を思い思いに作製。
最後に石に着生させるタマゴケトッピング付き。

(完成作品撮り忘れました・・)


そして、ここからが道草&麦草ヒュッテ企画の真骨頂。

「ジャゴケの楽しみ方雑学講座」&「糞ゴケの一生紙芝居」


ジャゴケの嗅ぎ比べ

素揚げのジャゴケ
まずは、ジャゴケの楽しみ方。
北八ヶ岳まできてジャゴケかっ!て言われそうですが(笑)
嗅いでもらいました。食べてもらいました。

糞ゴケの一生紙芝居
続いては、島立さんの「くそゴケの一生」紙芝居。
動物のフンにしか生えないオオツボゴケのお話しを、紙芝居を使って面白おかしくお話ししていただきました。

こんなこんな、色々な視点からコケと仲良くなる方法を考えて試みた企画第一回目。来年も更にディープなの企画したいなと話しをしているところです。来年の夏まで首をながーーーくしてお待ちください。

 
さて、プログラム自体は15時半で終わりだったのですが、泊まり組が5名いらしたので、一升瓶ワインを飲みながらコケ飲み会を臨時開催。本当は早く寝なければならない山小屋で、11時過ぎまで飲んでしまい、翌日は5時前に起きて朝焼けを見るという、健康的なのか不健康なのかわからないスケジュールに(笑) 来年のプログラムは初めから泊りと苔飲み会を組み込もう!


北八ヶ岳の朝焼け
やや酒が残るAM5時の朝焼け。

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