2017年8月4日金曜日

苔テラリウムの育て方 タマゴケの夏越しなどなど


新ブログにリライト記事を掲載しました(2019.5.29)
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苔テラリウム管理あれこれ
今回は人気のタマゴケ、夏越しのポイントを中心に書いてみます。

柔らかで、淡い緑色の葉とまん丸胞子体に憧れて、
育てたい! と思った人も多いのでは。
道草でも常に人気上位の種類です。

道草で販売のタマゴケのテラリウム


淡い緑色がとても柔らか。
手でそっと触ってみてください。
手触りもふんわり柔らかです。


タマゴケの萌えポイントは何といっても、
まん丸の蒴(さく)を付けた胞子体。

タマゴケの萌えポイントである胞子体は、2~4月頃付くので、只今の時期は見ることができません。お花が決まった時期に咲くのと似ていますね。
私のタマゴケ、玉がない! とか、玉が枯れてしまった! とか、言われることがありますが、季節によってついていなかったり、茶色くなるのは普通のことです。


さて今回は、タマゴケの育て方や特徴について、特に夏越し部分を重点に説明していきます。


ポイント:タマゴケが一番成長する季節は
☆ここ、しっかり覚えておきましょう。

秋涼しくなり、最高気温が25℃以下最低気温が15℃以下位になってくると、成長を始めます。逆に、最高気温が30℃を超えるようになると、成長が止まってしまいます。寒さには強いようで、最低気温が5℃くらいでも元気よく成長してくれます。

成長している時期の淡い緑色のタマゴケ


なので、今の時期ちょっと元気がないかな? と思っても、安心してください。何とか夏越しをすれば、秋以降淡い綺麗なコケが伸びてきます。


まずは、暑さの影響を受けたタマゴケがどうなるのか?
・新芽の成長が一度止まり、全体の緑色が濃くなります。
・さらにダメージを受けると、葉先が枯れ、茶色っぽく見えるようになります。
(ここまでは助かります)
・さらにダメージを受けると、緑色に見える部分がほとんどなくなり、枯れてきます。
枯れがひどくなると、カビも発生します。

暑さにやられて、色が悪くなったタマゴケのテラリウム


ルーペで覗くと、葉先が茶色くなっているのがわかります。
この状態だと、芯の部分はまだダメージがないので大丈夫。


具体的な暑さ対策をいくつかご紹介します。

1、クーラーを入れて快適に
まあもちろんこれができればベストです。
普通の植物は、クーラーの乾燥でダメージが出やすいのですが、テラリウムは囲われているので、乾燥の心配はありません。クーラーの風が当たる場所で、冷え冷えにしてもらっても大丈夫です。

一度色が悪くなったものを、涼しい場所に変えて一ヶ月半。
新芽が伸びて回復してきたところ。


2、冷蔵庫に避難作戦
これは、お盆休みなど部屋を閉め切りにして、何度になってしまうかわからないときの緊急避難的作戦です。(冷蔵庫の中は、明かりがないので、避難するイメージ)
昨年テストしたところ、3週間程度冷蔵庫に入れておいても、問題ありませんでした。冷蔵庫の中は乾燥するので、きっちりフタをしめておきましょう。

更にコケ愛溢れる達人は、昼間冷蔵庫にいれ、夜取り出してLED照明をあてているという方も・・。

一番の問題は冷蔵庫の権限をあなたが持っているか。
旅行から帰って、冷蔵庫の中に避難したコケが見つかり、修羅場ってこともありますので、その点は注意して下さい。


3、通常の管理で乗り切るポイント
上記2つはなかなか取り入れられない方もいるかと思いますので、

・最高気温が30℃を超えてきたら、水やりをやや控えめにする。
やや控えめという表現が難しいのですが、暑いと人の心理としてどうしても水をあげたくなってしまうもの。(「コケさん喉が渇いていないですか・・?」)タマゴケはホソバオキナゴケのように山状に群落(塊り)を作るタイプは、群落の中に水を多く含んでしまうので、暑い時期は特に蒸れた状態になり、コケが痛みやすくなります。ビン内部の空気中湿度が高い状態であれば、コケ自体が湿っていなくても十分に維持できます。


コケの断面
ザックリしたイメージですが、こんな感じ。


少し乾いてきたかなと思ってから、軽くコケの表面を湿らせるイメージで霧吹きをかけましょう。※テラリウムの中でも、本当に乾いたときには、コケの先端が、チリチリと丸まってきます。

それじゃあ、フタを開けておいたら? って思うでしょ。
それもNGです。
フタは閉めて、中の湿度は高い状態を維持した方が、痛みは出ません。


暑さ対策は、ざっくりこんな感じですが、
この時期もう一つ気になるのが、カビ対策ですよね。

(カビ対策については、過去の記事もご覧ください⇒
https://yamanashi-michikusa.blogspot.jp/2017/07/blog-post_13.html


まず、タマゴケの萌えポイントたる、胞子体。
始めに2~4月頃が見ごろと説明しましたが、そのころ、胞子体が付いているものを購入した場合、写真のように茶色くなっているのではないかと。


このように茶色くなった胞子体は、
役目を終えているので、
カビなどの分解する菌がとりつきやすい状態です。

カビが生えてしまったタマゴケの胞子体




少し面倒なようですが、茶色くなった胞子体は、
ピンセットで取り除きましょう。


カビ生えちゃってたらどうするの?

安心してください、胞子体にほわほわと生えている程度なら、全く問題ありません。
コケの方が弱った時に、広がってくる可能性がありますので、早めに取り除きましょう。

コケの方まで全体に広がってしまった場合は、まず綿棒などで、カビを綺麗に取り除き、家庭園芸用の殺菌剤でカビの再発を抑えます。
道草では、トップジンM・オーソサイド等を使用しています。
また、多く発生した場合は、ストレプトマイシン剤が有効です。

でも、薬とか使いたくないし、という方には、ヒバの精油を2000倍希釈したものを水やりがわりに散布することをお勧めしています。ただ、カビを増えにくくする、予防効果であって、殺菌することはできないので、発生する前に使うのが基本です。



さて、少し脱線しましたが、
カビが生えてしまったかも、という質問の中にカビではないケースもあります。

コケの途中から出ている茶色い糸状のもの。
わかりますか?
これはカビではなく、コケの仮根です。


新しく伸び始めた新芽にも仮根が出ています。

根というと、土の中に出るものだというイメージが強いので、
途中に付いた糸状のものはカビに見えてしまいますよね。
仮根はコケの種類によって、茶色だったり、白だったり、もっと黒っぽかったりします。
(タマゴケは茶色)

では、仮根はなんのために出るのかというと、基物に体を固定したり、仲間同士絡み合って離れないようにするためだったり。
※基物:コケが生える土台にしているもの(岩とか、倒木とか)

タマゴケは塊りをほぐすと、断面がこんな感じ
上が緑色で成長していて、
下は茶色くスポンジ状。

更に寄るとこんな
スポンジ状に見えるのは仮根が絡み合って、
塊りになっているのですね。

どのコケもそうですが、成長する過程で、茎の途中や葉の先端から仮根を出すことがあります。コケの成長には問題ありませんので、安心してください。


ところで、萌えポイントたる、タマゴケのタマちゃん(胞子体)は来年の2月頃でてきますか?
これもわりと気になるところですよね。
元気ならば必ず出てきます!・・・とは言えないのですよ。

コケの場合お花と違って、元気なら季節に咲くってものじゃないのです。
コケには雌株(メス)雄株(オス)があり、雄株が作る精子が、雌株の卵子に受精した結果、胞子体が生えてくる。

なので、テラリウムの中に、雌株と雄株が存在し、かつ、受精というドラマチックな出来事が行われたとき、出てくるのです・・。
そして、雌株・雄株はほとんどのコケの場合、見分けがつかず、確実に入っているのかどうかは定かでない。(胞子体が付いているのは雌株)


一応ね、期待しすぎてもいけないので、事実を伝えておかねば・・。




それでも、タマちゃん付くのを期待しつつ、タマゴケの新緑は綺麗ですし、

暑い夏を何とか乗り切って、冬のタマゴケ新緑シーズンを迎えましょう!







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