2017年12月3日日曜日

奈良県川上村にて苔の日々 三日目


さて、書き途中でした川上村での苔の日々
最終3日目、お仕事抜きの苔観察。

初日・二日目の様子はこちらの記事を。。。
https://yamanashi-michikusa.blogspot.jp/2017/11/blog-post_24.html



朝は寒いですよー、と言われたのですが、なかなかお布団ぬくとくて。
気温も山梨の方がぐっと冷えて寒いかも。


まあ流石に霜が降りて、外にさんぽへ出かけたら寒かったですが。


ハイゴケも霜でキラキラ綺麗でした。


3日目は、自分自身のお楽しみ。
水と森の源流館木村さんにご案内いただいて、川上村の苔スポットコケ観察。
やっぱり、遠出出張はお楽しみもなければね。






川上村の苔の特徴の一つが、石灰岩地に生えるコケなんだそうです。

(石灰岩地層というと、サンゴの化石とか、フズリナの化石とか、、、昔の趣味であった古生物心をくすぐるところもありますが)


石灰岩に生えるコケというと、そうかアルカリ環境が好きな奴なんだな。そういうことを覚えておけば栽培の役に立つかも!

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ところが、どうも好きなわけではないようなのです。

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耐えきれなくなった苔は茶色く

こちらは黒っぽく

カルシウム濃度の濃い石灰岩の上は、なかなか植物にとっては過酷な環境。
過剰にあると毒にもなりますので。
それで生えることのできる植物も限られ、コケも限られ、、、
ようは、耐えることのできるタイプのコケが、ここに生えているってことみたいなんです。他の場所では生存競争に勝てないから、あえて過酷な環境で勝負しているみたいな。

自生地を見ることは、コケの生育環境を知ることになるけれど、自生地は必ずしも最適環境ではないのですね・・。



もう一つが、林業の村たるところの、人工林の林床に生えるコケたち。
山々はほとんど、杉や檜に覆われているので、そういった木々の下に生えるコケにとってもパラダイスのような場所なわけです。

あまり間伐に入らないと、林の下まで光が届かずコケが生えられなくなっていくとか。光が多く届くようになると、シダや草本類といったコケより大きな植物が生えるようになり、コケが負けてしまうとか。
体が小さいだけに、他の植物の勢いに左右されやすいのですね。


さてさて、観察した苔をいくつか紹介していきましょうか。


コケ好きは誰もが憧れるオオカサゴケ



こちらも憧れの的。コウヤノマンネングサ。

コウヤノマンネングサの群落が、シダや枯葉に覆われ、
息も絶え絶えでしたので、
落葉を掃除し、シダさんゴメンナサイして。
明るくしてあげました。
(あくまで苔優先でスイマセン...


ホソバオキナゴケも可愛く蒴を出して。

トヤマシノブゴケの蒴

ナミガタタチゴケの蒴

ああ勿論この方もいらっしゃいました。
ジャゴ様


キヌヒバゴケ。
スルメの味がするらしい。
その時に教えてもらっていれば、間違えなく試食したのに。
心残りでございます。



コハネゴケ。先端の方の葉がぽろぽろ取れて、
辺りに生息範囲を広げていくという変わり者。
<身を削って分身作ろヤツ>


今回もう一つ見どころだったのが、
こちらの神社。
集落もない結構山の中に。

南朝の君がここに住んでおられたのだとか、



苔むす階段と、
コツボゴケふみふみ。。
コケ好きさんに踏むな!って怒られそうですけど、、
まあ、人が歩くために、落葉を掃いているから、
コケが生えるということなので。
ここはあえてふみふみせねば。

マメヅタとコケがイイ感じの狛犬。

とっても雰囲気の良い場所でした。


最後に看板で、ここの史跡のお勉強を。。


何か汚れていてきたないなーーー


ルーペじゃなきゃ読めないわ。


「・・言い・・」

「・・あり・・」






いえいえ、見ていたのは看板ではなく。
カビゴケですww

カビゴケは、普段は広葉樹の葉の表面などに生えるコケなのですが、看板もなかなかお好きなようで。そう、このカビゴケは良い香りがするんですよ。カビ臭いわけではないのでご安心を。




えーーーーと。
そんなこんなの3日間。

まだまだ紹介しきれていないこともありますが、
コケにまみれにまみれて来たというわけです。



ここの皆が、コケビジネスうまくいったら、また道草しに来れるぞと思いつつ、成功を祈っております。





2017年11月25日土曜日

趣味の園芸12月号

普段、苔の人、たまに蘭の人の道草です。

NHK出版趣味の園芸12月号洋ラン特集で、
シンビジューム記事と動画を担当しています。


シンビジウムは水で育てる。
お水が好きな蘭なので、
花芽が付いているものは乾かさないようにね。


ミツバチを誘因するシンビ キンリョウヘンの紹介。

道草の和蘭販売サイトで取り扱い中です。

かざしてプラスという、アプリから見る動画も担当しています。
こちらも是非ご覧ください。

2017年11月24日金曜日

奈良県川上村にて苔の日々 初日・二日目

昨日までの3日間。奈良県川上村の村おこし協力隊のメンバーにお呼ばれして、苔テラリウム講座を開催してきました。

苔のビジネスにテラリウムを取り入れたいと考えている方々へのレクチャー。

今までは、商売として取り組もうとしている人たちには教えてこなかったし、そういった話があっても断ってきました。(普通にワークショップに参加して、教えてもらったと思って、教室とかやっちゃう人もいるけど・・)

何で断ってきたかというと、その形だけ真似して、コケのコトや、お客様の手に渡ってからその後のコトは蔑ろにされそうな気がしたし。ブームみたいだし、インスタ映えしそうな可愛いの作って教室やって少し儲けてみたいみたいなね。

今回は苔の研究やっている人の仲介があったてこともあったけど、しっかり苔のコト、作り方のコト勉強して、自分たちのビジネスにしたいんだっていうのが伝わったんだよね。それなら基本のコトやるだけでも、2日間くらいかかるし、これくらいのコストはかかりますよって、生なお話しして、それでもやりたいということで。
だいたい、少し設けたい的な人はそのコストの部分で断ってくるからね...


村おこし協力隊の人たちは、川上村の若い人なのかと思っていたら、
役場が募って移住してきた人たちなのです。
3年間だったか、決められた期間は色々な補助があったり、村の仕事があったりするのだろうけど、その後は自分たちで生業を作らねばならぬのだそうだ。
そこに苔の選択なんだね・・

はい、ぷれっしゃーーーー

仕事を受けたからには、しっかりと教えて、仕事の役に、生活の役に立ってもらわねば、あんなのたのんで損したと思われたくないし、道草に教わってコケの仕事始めて生活苦しくなったとか言われたくないし。

最近、ローカルデザインの本を読みあさっちたのも、こういったところでビジネスしようという人たちのことをわかっておかねばと思ったから。
山梨もいい加減ローカルですが、東京からの距離感とかは、やっぱり他のローカルエリアとは違うと思うんだよね。道草はその辺をうまく利用しながら、東京都田舎町を行き来しているわけだが。


前置きはその辺にしておいて、
奈良県川上村どこだーーーーってところから。

川上村のサイト
http://www.vill.kawakami.nara.jp/life/docs/2017013100120/
平成27年度 680世帯 人口1313人



皆が良く知っている鹿さんがいっぱいる東大寺から、ずーーーーーと南の方。
ダム湖があって、奈良県の水源地。
川の水もとってもきれいで。
紅葉は終盤戦でしたが綺麗な景色。


山梨県からは、私の軽バンで7時間ジャスト。
(帰りはホントしんどかったです)

今回講座の会場そして、私の宿泊滞在場所となったのが、暮らす宿HANAREさん。
http://hanareandinkyo.tumblr.com/


深い谷間の集落に位置し、
古民家を改装したその場所は、薪ストーブがとても暖かく、居心地がよく



今回の参加メンバーは5名
作り方だけでなく、苔の準備や下処理、ワークショップや製品を販売する際の心得。そして、一人に先生してもらっての模擬ワークショップなど。
もちろん、ピンセットの使い方など、作り方のレクチャーも長めに行いましたが、作り方は正直、もっともっと長い時間をかけないと、綺麗なものを短時間で作るなどといったことまで教えるのは難しかったかな。あとは、皆が自主練してくれるみたいなので。




道草が独立してから今までどうやって、コケビジネスを軌道に乗せてきたのかの話しや、今後苔のブームってどうなの。←もうピーク過ぎてますから、売れている商品、ビジネスを後追いしても、個人のレベルでは儲からないよといった現実的なダークサイドの話まで。
この辺は、1月に東京で若きお花屋さん達に、お話しする機会がありそうなので、頭の中が整理できたぜよ。

いやはや、普段のワークショップは、正直お客様に楽しんでいただいて、綺麗な作品を作ってもらって、その後楽しんでいただく方法を教える。ようは、楽しんでもらうことをやればOKなのだが、今回はそれとは全く違うので、2日間のことでどこまでお役に立てたのか不安も残るところ。

皆、素朴で素敵な人たちだから、教えようか迷っていた着生のことなど、惜しみなく喋りすぎてしまったような(笑)


 宿や周辺のことに話を少し戻すと、
このエリアはとても湿度が高く、
いたるところが苔むしている。
苔の塊のような場所なのだ。

ちなみに、クローゼットの中にキノコが生えたなんて話も・・それはイヤ


明るい石垣にはハイゴケが縦横無尽にマットを作り、


可愛い地衣類がにょきにょきと顔を出す。


道路沿いの石垣は、コケとシダにまみれたモスモスワールドで、
コケ好き、シダ好きが来たら、この石垣だけで数日滞在できるくらい。

マメヅタもいたるところにありましたね。

吉野地方は何といっても昔から林業が盛んな地域で、
なんでそうなのかというと、湿度が高いために、密植して植林すると、日が当たらなくなった枝が勝手に腐って落ちるので、真っすぐな樹に育つのだそうだ。
と、宿の隣の樽を作っている方が教えてくれた。

なんでしょう。
可愛い紫のもふもふ。
気になったので写真を。


ソーラー発電と発酵は、スローライフの共通項でしょうか。

釜戸ゴハンはやっぱり美味しかった。
宿泊すると、釜戸炊きも自分たちでやるっていうシステムらしいよ。
なかなかできない体験だよね。

谷間の夕暮れは早く、夕食前に散歩に出かけたら、
まっくらで、森が近くて、
それは恐ろしくて、
人間は自然と共に暮らしているのだけど、
自然に対して恐怖を感じるものなのでしょうね。


集落の人口が減ってきて、徐々に自然が迫ってきている。
というお話をされていた。

元は自然であった場所を人が切り開いたのだろうけど、
その境界線は人が手を入れなければ、簡単に乗り越えて、

その迫ってくるという表現に、自然に対する畏怖のようなものを感じた。
たぶん都会の人が感じている自然観と、自然に密着して暮らす田舎の人たちの自然観は違うのだろうな。


田舎と都会の違いで言えば、
ストレスや寿命の話しになり、なんとなく都会から田舎に移住するって、ストレス社会から解放されて健康的なイメージがあるけど、案外田舎は田舎でストレスがあるようなのだ、それはご近所付き合いとかということではなく、生きていくということ、生活するということに対するストレス。
災害があった時、病気をした時、圧倒的にインフラが整っているのは、都会なんだよね。
都会では保育園に入れるの大変かもしれないが、田舎では保育園の送り迎えに片道40分・・。それ毎日のことと思うと結構大変なんだろうと思ったり。
あとはそれぞれ個人が、どの程度豊かな暮らしを望んで、どういう生活をしたいか。

全くストレスなく、すべて便利で豊かなんて、世の中にないからね。





だいぶ脱線しましたが、色々と感じることがありましたので。






2日目の最後に、皆に作ってもらった作品達。
それぞれに愛らしい。




さて、長くなってしまったので、3日目に行ったコケ観察のことは、また後日。